「自分のしてほしいことを相手にする」から生じるすれ違い

 

わたしは基本的に「したくないことは、しない」タイプの人間です。

なので、やりたくない、興味がない、気がのらないことは結構あっさり断ります。

そして、それが悪いとも申し訳ないとも思っていません。

 

なぜなら、

「さして興味がないのに、義理で引き受けるのはお互いにとって結局はよくない」

「本心ではやりたくないのに、それをかくしてYesというほうが失礼」

だと思っているからです。


 

いや、むしろ「思っている」というよりわざわざ意識にのぼらないくらい、

当たり前のこととして「信じている」。

なので自分では気づいてすらいなかったのですが、

あることがきっかけで自分のそんな考え方に気づき(=意識にのぼり)、
また、そのことからくるパートナーとのすれ違いについて知りました。

 

○○○ ○○○ ○○○ ○○○

あるひとの恋愛相談を受けていたときのこと。

彼女はこんなことを言いました。

 

「わたしは彼のためと思って色々と頑張ってしてあげてるし、

我慢もしているのに、彼はぜんぜんそれをわかってくれない」

「たまにわたしが『こうしてほしい』と言っても、

あっさり『嫌だ』とか言う」

わたしはこのとき「彼女」の言い分にあまり共感できませんでした。

むしろその「彼」の気持ちが痛いほどわかったのです。

 

なぜならわたしも知っているその「彼」は、

たぶんわたしと同じような考え方

―「基本的にしたいことしかしない」「気乗りしないならYesと言わない」—

をするひとなのだろうな、と思ったから。

 

わたしや「彼」のようなひとはまず、

「本当はしたくないのに我慢して何かをすることはかえって失礼」

だと思っています。

だからわたしたちが何かをするなら、それは自分がしたいからしているのです。

 

そしてひとはどうしても自分の基準を相手にあてはめて考えるもの。

なので、「彼」やわたしのような人間は、

「もし相手が何かをしているなら、それは本人がやりたくてやっている」

と思っています。

 

だもの、その「彼」は、

彼女がそんなに不満を抱えているなんてまったく気づかないだろうな。

むしろ「やりたくてやっていたわけじゃないんだ、我慢してやっていたんだ」

というほうに裏切られた気になったり傷ついたりするだろうなと思ったのです。

 

ちなみに実際、わたしはそう。

「別にやりたかったわけじゃない、あなたのために我慢してやっていた」

なんて言われたら、気が狂いそうになります。

「頼んでもいないのに、勝手に『わたしのため』とか言って犠牲にならないで」と。

○○○ ○○○ ○○○ ○○○

愛情の表現方法はひとそれぞれ。

そして愛情を感じる方法もひとそれぞれです。

この「彼女」は「相手のために我慢したり、尽くすのが愛情」だと思っているから、

それをしてくれない相手をみて傷つきます。

そして自分が思う方法で一生懸命愛情を表現しているのに、

それを愛情だと気づいて受け取ってくれない相手にも傷つきます。

 

一方の「彼」は、「自分が本心からしたいことをすること、

相手にもそんな生きかたすすめることが愛情」だと思っているから、

本心ではしたくないことをしていた相手に傷つきます。

 

そして一見放任主義のような態度で相手に接するので、

相手は「愛されていない」と誤解するのです。

 

「彼」にとってはそれこそが愛なのに。

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「彼女」の話をきいた日の夜、わたしはパートナーに聞きました。

「もしかして、あなたもこの『彼女』のようなタイプなの?」と。

 

答えはイエス。

パートナーは、この「彼女」が「彼」の態度に傷ついたり

愛情を疑ったりしているように、

あっさり「嫌だ」とか言ったり、

我慢したりする様子のないわたしの態度に、

昔はずいぶん傷ついたと言いました。

 

さいわい彼は途中で、

わたしたちはただ愛の表現方法が違うだけだと気づいたようですが。

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あなたはどんな方法で愛を感じますか?

率直な言葉?尽くしてくれること?

それともやりたいように自由にさせてくれること?

 

わたしたちが注意しなければいけないのは、

「相手もこれで愛情を感じるはずだ」と勝手に判断して、

自分が愛を感じる方法で相手に愛をおくることですね。

それがかえって相手や自分を傷つけることになりかねません。

 

だって愛を感じる方法は、
本当に本当に、ひとそれぞれなのだから。


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